ダンス・ダンス・ダンス〈上〉 (講談社文庫) 価格: 680円 レビュー評価:4.5 レビュー数:26 この作品の舞台は、1983年の3月から始まる。
そして作中、「高度資本主義社会」と「踊る」という二つのキーワードが、
これでもかというほど、繰り返し書かれている。
村上 春樹作品で、「やれやれ」以外の言葉が、こんなにも頻繁に出て
くるのは、ちょっと他に記憶がないくらいに。
前作『羊をめぐる冒険』で、ある種古き良き時代の象徴として描かれた
「いるかホテル」は経済成長の波に飲まれ、そこにあった味わいが
システム的な、オートマチックなものに変質している。
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新世紀のビッグブラザーへ 価格: 1,365円 レビュー評価:5.0 レビュー数:21 純粋に近未来を描いたSF小説、ちょっと怖い読み物としても、面白い。ぐんぐん吸い込まれるように惹きつける筆力は新鮮だった。
昨今の情勢を見ていると、是非、こういうテーマこそ、アニメや映画、漫画化して、広く若い世代にあらゆる手段で伝えていってほしいという気持ちに駆りたてられた。
連日の極悪な「偽善・仕分けショー」、伝統文化ジェノサイド、国の元気に関わるスポーツ振興予算削減、スーパーコンピュータ開発費の締結などを見せつけられると、怒りが湧いてくる。と、同時に、それ以上に恐ろしい「偽善パフォーマンス」を徹底して演じる「良心勢力」的なコメンテータ、特に福島瑞穂が図 |
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村上春樹、河合隼雄に会いにいく (新潮文庫) 価格: 460円 レビュー評価:4.5 レビュー数:28 人の一生は四季たとえられる。それはライフサイクルといわれる。(河合隼雄著『生と死の接点』参照)春から夏は自我の形成期であり、秋から冬にかけては人生の全体性を把握し自分なりの世界観を完成させるときである。昔話により、内的な成熟過程のある段階を理解することができる。河合隼雄『昔話の深層』では西洋の昔話から西洋人の自我の確立過程を描き出している。西洋の昔話の多くのパターンは、「英雄が怪物を退治してお姫様と結婚して幸福になる」である。これは英雄(自我・意識)が怪物(太母・グレートマザー・無意識)から自立して自我を確立して、結婚により心の全体性を獲得すると解釈される。また、同じ河合の『昔話と日本人の心 |
キャッチャー・イン・ザ・ライ (ペーパーバック・エディション) 価格: 924円 レビュー評価: 4.0 レビュー数:230 1951年に『ライ麦畑でつかまえて』で登場してからというもの、ホールデン・コールフィールドは「反抗的な若者」の代名詞となってきた。ホールデン少年の物語は、彼が16歳のときにプレップ・スクールを放校された直後の生活を描き出したものだが、そのスラングに満ちた語り口は今日でも鋭い切れ味をもっており、ゆえにこの小説が今なお禁書リストに名を連ねることにもつながっている。物語は次の一節で語りだされる。 ――もし君が本当に僕の話を聞きたいんだったら、おそらく君が最初に知りたいのは、僕がどこで生まれただとか、しみったれた幼年時代がどんなものだったかとか、僕が生まれる前に両親はどんな仕事をしていたかなんて |
アフターダーク (講談社文庫) 価格: 540円 レビュー評価:3.5 レビュー数:63 村上春樹作品の中では一位二位を争う「駄作」だと思います。
文体も彼特有の読者をグイグイと引き込む感じが全くなく、本当に村上春樹が書いた作品かい?と疑いたくなる程です。彼の才能の枯渇を感じずにはいられませんでした。
でも1Q84で挽回してくれたので良しとします。 |
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1973年のピンボール (講談社文庫) 価格: 420円 レビュー評価:4.0 レビュー数:30 村上春樹の2作目は、いいきなもんである。文庫本で171ページの間に、「煙草」が61回出てくる。語り手である主人公も鼠もスペイン語の大学講師も実によく煙草を吸う。JT(ジェームズ・テイラーではない)のまわしもんか!? それから、「まるで・・・のように」という直喩が26回も使われる。うんざりだ。そして「うんざり」という言葉が6回発せられる。「それだけだ」が9回。決定的なのは、小説を書く上で35の誤謬があるが、そのうちの32が見つかるのである。たとえば、p.25に「これは『僕』の話であるとともに鼠と呼ばれる男の話でもある。」とあるが、p.28にも「これはピンボールについての小説である。」とある。作 |